11_心問題
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離婚後にも,面会交流の際に元妻に復縁を求めるケースや,ささいなやり取りの中で元妻に対し激怒して暴力に至るケースもあります。さらに,加害者は支配欲の裏返しとして猜疑心が強く,配偶者が不貞をしている等と疑うことがあります。妻が宅配便の男性と玄関先で少しばかり世間話をしていた,新しい下着を買ったといったささいなことが「浮気をしている」との疑いにつながり,それがまた暴力につながることもあります。妻から離婚請求をされても,自分には離婚原因がない,別の理由があるはずだ,それは妻が不貞をしているからだ等と推論し,ときには妻の弁護士等の支援者のことを妻の不貞相手ではないか等と勘繰るケースもあります。妻からの離婚給付請求についても「あの弁護士が妻を唆して自分から金を巻き上げようとしている」等と解釈されます。このようなときは妻の支援者に対する逆恨み,ときには加害行為に結びつく場合もありますので注意が必要です。2DV被害者のうつ,ストレス反応などDV被害者にも当然ですが様々なタイプの方々がいます。ただ,よくあることとして,「自分も悪い」「あの人にもいいところがある」「子どものために自分が頑張らなくては」といった気持ちでいます。その結果,暴力に耐え続け,別居等に踏み切っても「自分の我慢が足りないのではないか」「別居=逃げなのではないか」等と自責の念に駆られ,加害者のもとへ戻ってしまうことなどがあります。しかし,身体的暴力はもちろんのこと,人格を否定する暴言や経済的締め付けが日常的となっている中で生活することは,精神的に大きな負担です。親族や友人を含め外部との接触も制限される中,いつの間にか,うつ状態に設例1 男性からのDVと監護権・離婚・面会交流  129全面的に否認するか,一部は認めても矮小化し配偶者に責任を転嫁する加害者が大多数であり,自分には非がない・配偶者が自分から去ることは許せないとして配偶者からの離婚請求を拒否する展開となることがほとんどです。一部には暴力の事実を認め,離婚にも素直に応じる加害者もいますが,それでも暴力的傾向をなくすことは難しく,加害者更正プログラムやカウンセリングに通ったとしても克服することは険しい道のようです。

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