5_国ビ
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第1章1国際ビジネスを規律する法2第1部 総論編外国法を含むあらゆる種類の法が関係してくる。紛争解決の場面では、外国法を準拠法として権利・義務が争われることもある。諸外国の法制比較に、紛争解決のヒントが隠されていることもある。これに加えてソフトローや国際的な取引慣行も重要である。 とはいえ、国際ビジネス法を理解するために、世界中の際限のない法知識を国内法と国際法 通常、人々は国家の法を通して規律されている。自然人や企業・団体等の当事者による法的な紛争は、いずれかの国の裁判所を通して解決され、それぞれの国家における強制執行システムによって実効性が確保される。つまり、それぞれの国内的な秩序においては、国家主権の領域内において、主として国内法(国家法)が規律している。 それに対して、国際的な社会では、国際的な法規範が必要とされ、国際社会の法が「国際法」と呼ばれる。国際法は主権国家を基本単位とし、主権国家間の関係を規律する。このため、その規範の名宛人は国家を中心とする。しかし、国家は対等であり、相互の合意もなく、実力で屈服させることができなければ、国際法の実効性を担保することは難しい。 かつては、紛争が起きると、実力によって相手を屈服させ、弱肉強食的な秩序が、地域の人々や国際社会をも支配していた時代があった。それが移り変わり、近代以降、徐々に人や実力による支配から、「法の支配」による社会の構築に向けて、人類は努力をしてきた。1648年のウェストファリア講和条約によってヨーロッパで主権国家が成立し、今日につながる国際社会が形成されるようになったと考えられる。外国法も準拠法 国際ビジネス法では、国内法としての国家法のみならず、国際ビジネス法とは、どういうものか─国内法と国際法

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