5_国ビ
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2国際ビジネスの意義3第1章 国際ビジネス法とは、どういうものかすべて暗記する必要はない。各国の法令は変化していくものであり、それぞれの歴史や文化を背景に、様々な様相を示す。それらの実像は、必ずしも容易に把握することができない。 しかし、国際ビジネスの分野において、どのような局面で、どのようなリスクがあり、どのような種類の法令があるかについて基本的な視点と知識を持っていることは重要だ。ヒト、モノ、カネ等が国境を越える場合に、国内法や外国法がいかに適用されるのかを理解する頭を持つことが必要となる。過去の経験から学べることも多い。 個別の法令の内容や具体的な結論がどうなるかについては、適宜必要に応じて調査をすることで対応できる。しかし、その前提として、どこで何を調査するかを察知する必要があり、その基本的な概念や典型的な論点を体系的に学習しておくことは有意義だ。ビジネス上の判断においても、公的な規律と私法関係を区別し、その法的な意味を理解して判断することが重要である。グローバル経済のニーズ 企業が国際的な取引に乗り出していくのは、国内市場だけでは事業を拡張するにも限界があるからだ。世界の広い市場に活動領域を広げることによって、販売量を増やし、国内では入手できない物品・サービスを入手し、経済的にメリットのある取引ができる。また、海外の新しい考え方・文化や生活スタイル等を好みに応じて取り入れられることも大きな魅力だ。少子高齢化で低成長時代を迎えた日本の企業が成長できるかどうかは、海外での活躍いかんにかかっている。日本の輸出入が増えれば、日本経済も好調となって好循環がもたらされるので、既に多くの企業がグローバルなビジネス展開をしている。 海外からの投資や商品等の受入れは、経済を活性化し、私たちの生活の質を高めるために不可欠だが、海外の人々にとっても、日本の技術やノウハウによってイノベーションを起こし、雇用が増える等の効果によって経済の活性化に役立つ。究極的には、国際ビジネスの安定的な秩序形成が、経済の持続的発展と世界平和にも大いに貢献することになろう。─豊かな社会の構築に向けて

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