3グローバリゼーションに伴うビジネスの変化6第1部 総論編競争激化とイノベーション 21世紀のグローバリゼーションとIT革命は、経済環境を大きく変化させ、各種の規制緩和を促進した。これに伴う競争の激化は、一面で企業活動を厳しいものとしているが、経済活動に大きな刺激を与え、その内実を豊かなものにした。かつては存在していなかった新しいビジネスが登場し、企業のM&Aも日常茶飯事のものとなっている。こうした経済のグローバル化に伴って、旧来型のビジネス手法から脱皮し、欧米企業が世界的に展開する合理的で洗練された手法を学ぶ必要がある。 競争激化は、ビジネスのイノベーションも促す。より効果的・効率的な手法が追求され、これに伴って法制度も改革されていく。日本は1990年代以降、「第三の大立法時代」と呼ばれる改革の季節を迎え、諸外国でもグローバリゼーションと規制緩和の流れが加速し、その状況に応じた法制度改革が進展している。中国をはじめとするアジア諸国等も多くの新たな法制度を整備し、国際ビジネスに対応できる体制を整えつつある。そうした各国の法制度改革の動きも国際ビジネスに無関係ではありえない。 国際商取引の分野では、その手法から表現方法に至るまで、日本の企業は欧米企業のやり方を模倣しながら取り入れてきた。そして現在、取引法の実務から会社法務に至るまで、企業社会も欧米の影響を強く受けたことに伴って、日本特有の古いやり方が通用しなくなっている。例えば、国内ビジネスでも、契約書の重要性が高まり、その内容も欧米のビジネス手法を取り入れて、洗練され、合理的なものに変容してきた。契約交渉で最初に秘密保持契約を締結することから始まること(251頁参照)が多くなったのも、その1つの現れだ。国際ビジネスの基本 国際ビジネスでは、契約書の書き方を含めて、英米法の影響が圧倒的に大きい。英米の法律家は数も多く、世界的に活躍し、一部の法分野では英米法が準拠法となってグローバルスタンダード化したこと等から、企業法務を取り扱う法律専門家には英米法についての一般的な素養が期待される。また、国際法務の基本的知識は、一般のビジネスマンにとっても、─ ビジネスの複雑化・高度化に伴う洗練された法的リスク・マネジメント
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