8第1部 総論編【図表3】国際ビジネスのリスク ビジネスが順調に進んでいるうちはいいが、一度トラブルになると国内紛争に比べて、コストが高くなり、解決が難しくなりがちだ。国内紛争であれば国内の裁判所に訴えればいいが、海外の取引先が相手方になると、まずどこの裁判所で訴えるのかという点から利害が鋭く対立する。外国での手続が必要となれば、その負担は計り知れない。 また、国際ビジネスに関する法律問題は、複雑だ。例えば、A国の会社とB国の会社の取引ではA国法とB国法の両方が何らかの形で関係する。この場合、民間企業同士の取引でも、私法上の問題のみならず公法的な規制が関係することも少なくない。ここにA国法とB国法のいずれが適用されるのか等の抵触法ないし国際私法の問題を解決する必要がある。 加えて、当事者の言語、文化、歴史、コミュニケーション手法、取引のセンス、法的素養等が異なり、時として国益等が関係してくる。日本人の発想では考えられない奇想天外な主張が繰り出されることもあり、自国の常識は通用しない。国際ビジネス特有の国内為替変動リスクや長距離運送に伴うリスクもあり、特に発展途上国等の外国企業との取引では、戦争、内乱、政治体制の変更等により、輸出入や為替送金の停止等の事態に陥るリスク(カントリーリスク)がある。摩擦A国法公法的規制私法的側面文化言語歴史環境風土取引慣行取引センスカントリーリスクX社Y社交流契約B国法私法的側面公法的規制文化言語歴史環境風土取引慣行取引センスカントリーリスク
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