11第1章 国際ビジネス法とは、どういうものかは、国際的な物品売買契約に適用される現代的かつ統一的な契約のルールを定める条約として、「国際物品売買契約に関する国際連合条約」(United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goods=CISG)を策定した。これは1980年にウィーンで採択されたので、ウィーン統一売買条約等とも呼ばれ、1988年に発効した(138頁参照)。 UNCITRALは、国際商事仲裁に関するUNCITRALモデル法(UNCITRAL Model Law on International Commercial Arbitration,1985年採択、2006年改正)、電子商取引に関するモデル法(Model Law on Electronic Commerce,1996年)、公共調達に関するUNCITRALモデル法(UNCITRAL Model Law on Public Pro-curement,2011年)等を策定し、加えて、国際海運立法、工業化のための契約に関する標準条項・標準契約等を作る活動にも取り組んでいる。 一方、国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and Development=UNCTAD)は、発展途上国の貿易、投資、開発の機会を最大化し、国際ビジネス上の難問に直面する発展途上国を支援して、世界経済への統合を目指している。ハーグ国際私法会議 1893年にヨーロッパ諸国が集まって始まったハーグ国際私法会議も、国際私法の統一を目指す母体として重要である。この会議で採択された条約は、ハーグ国際条約と呼ばれる。日本も1904年の会議から参加しており、準拠法や国際民事手続法に関する国際私法条約等、重要な条約をいくつも成立させている。民間団体の取り組み 国際商業会議所(International Chamber of Commerce=ICC)は、民間企業の世界ビジネス機構で、国際貿易や投資等を促進するために積極的な意見具申・政策提言を行っている。ICCは、130カ国以上の国内委員会等及びその直接会員たる企業・団体で構成され、2016年末に国連総会でのオブザーバーの地位(投票権はないが意見表明の機会がある)が認められた。ICCは、インコタームズ(140頁参照)のほか、「信用状統一規則」(152頁参照)、「取立統一規則」、「銀行間補償統一規則」、「仲裁規則」、「友誼的紛争解決規則」、「契約保証証券統一規則」、「請求払保証に関する統一規則」、「UNCTAD/ICC複合運送書類に関する規則」等の国際取引慣習に関する共通のルール作りや国際商事取引紛争に関する情報提供活動等を行っている。この点からも明らかな
元のページ ../index.html#27