難しい依頼者と出会った法律家へ
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1 難しい依頼者1 難(1) 難しい依頼者とは 本書における「難しい依頼者」とは,感情の表し方,思考方法,対人関係における態度に,常識を越えた極端さがあるため,弁護士が困惑するような依頼者のことです。 弁護士として複数の事件を受任しているとき,それらが比較的楽な気持ちで進められる事件なのか,それとも,胃に何かがつかえているような重苦しい気持ちで取り組まなければならない事件なのかは,依頼者がどんな人物か,言葉を変えれば,依頼者がどのような性格であるかのかに大きく影響されます。難しい法律問題をはらんでいる事件でも,依頼者の性格が温和なら,「よし,この依頼者のために頑張ろう」という思いが自然に湧き,打合せもスムーズに運び,準備書面も書きやすいでしょう。証人尋問ではお互いの息の合う尋問ができるし,仮に敗訴になったとしても依頼者への報告に過度に神経をとがらせる必要もありません。 しかし依頼者がいわゆる難しい性格だったとしたら,これらの事件処理の過程は,1つひとつが石を噛み砕いていくような難行苦行となります。依頼者の機嫌を害さないように言葉を選び,電話やメールのタイミングにも気を使うのですが,結局依頼者は怒ったり,攻撃的になったり,過度に不安がったり,泣きだしたり,対応することが厄介な反応を生じます。 このような「難しい依頼者」とは,一体どのような依頼者なのでしょうか。 難しい依頼者は,受任事件の遂行過程という客観的な側面と,弁護士が抱く感情という主観的な側面の,2つの面から特徴付けられます。3第1章 難しい依頼者とパーソナリティ障害第   章1難しい依頼者とパーソナリティ障害

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