難しい依頼者と出会った法律家へ
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2 難しい依頼者とパーソナリティ障害2 難しい依頼(1) パーソナリティ障害と難しい依頼者との関連性 パーソナリティ障害とは精神医学上の概念ですが,弁護士が難しい依頼者と向き合い,うまく対応していくために,パーソナリティ障害の視点を導入することは非常に役に立つことと思われます。明確で曖昧なものになっています。これは基本的には,弁護士がより“身近な存在”となったというポジティブな評価をすべきことです。しかし,パーソナリティ障害の依頼者にとっては苦手な関係性なのです。 弁護士との関係に限らず,パーソナリティ障害の人は役割構造が不明確・曖昧な対人関係に投げ込まれると,自分のなかのイメージを他者に投影しやすく,それをもとに疑惑や不安に陥りやすいという特徴を持っています。権威者である弁護士との間の明確な役割のある関係ではなく,家族や恋人や友人など身近な関係に近くなれば,パーソナリティ障害の依頼者は様々なイメージをそこに投影して,不安や怒りにかられたり,要求がましくなったりしやすくなります。つまり,その生来の難しい性格特徴を弁護士との関係でも発揮しやすくなるのです。いわゆるタガが外れた状態になり,以前であればごく普通の依頼者として振舞えた人々が,難しい依頼者に変貌してしまうのです。 このようにして,弁護士が以前よりも身近な存在となった現在,結果的に難しい依頼者に弁護士が対応しなければならない場面が増えているのではないかと,私は考えています。 多くの弁護士は,全ての依頼者に真摯に向き合い,依頼者の権利の実現を図ることを気概としていると思われます。それは「難しい依頼者」との間でも同じはずです。しかし,普通にやっていたのでは「難しい依頼者」との関係はうまくいかないのです。それでは弁護士は「難しい依頼者」とどう向き合っていけばよいのでしょうか。そのために,どのような知識と技能を身に着ければよいのでしょうか。8第Ⅰ部 難しい依頼者をどう理解するか

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