難しい依頼者と出会った法律家へ
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1 1 41第1章 情緒不安定な当事者(境界性パーソナリティ障害)第   章1 境界性パーソナリティ障害の人は,「安定した不安定さ」が特徴だと言われます。つまり,一貫して不安定だということです。些細なきっかけで,その気分は天国と地獄のような両極端を揺れ動きます。様々な要因が関係しますが,特に「他者から見捨てられる不安」がきっかけで,激しい不安と相手に対する怒りが湧き上がり,見捨てられまいとしがみつくか,衝動的に攻撃的な行動をとることが特徴です。ストーカーとなって相手を追いかけまわしたり,暴力的な行動に出たりすることで,相手から訴えられることがあります。また,見捨てられた相手への激しい怒りのあまり,自ら法的手段に訴えることもあるでしょう。 依頼者が境界性パーソナリティ障害だとすれば,弁護士をもこのような情緒の嵐の中に巻き込むかもしれません。弁護士は,どうすればそのような嵐に巻き込まれないようにできるでしょうか。また,もし嵐に巻き込まれてしまったら,弁護士はどのように嵐を鎮めることができるのでしょうか。Introduction Introd情緒と対人関係の嵐に巻き込まれる情緒不安定な当事者(境界性パーソナリティ障害)

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