難しい依頼者と出会った法律家へ
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 本書は,弁護士を始めとする法律家が,パーソナリティ障害やパーソナリティの偏りを抱える難しい依頼者と,どう向き合い,どう関わればよいのかについて,私の弁護士と臨床心理士の2つの経験からまとめたものです。法律家に向けてパーソナリティ障害について述べた本は,恐らく日本では初めてのものだと思います。初めての試みであるがゆえに,また私の識見の足らなさのゆえに,本書の内容は残念ながら十分なものとは言えません。 ただ,少なくとも本書が,難しい依頼者に果敢に向き合う法律家に,パーソナリティ障害という新しい視点を示すことはできたのではないかと自負しています。 本書が1つの足掛かりとなって,法律家の方々が「難しい依頼者」に正面から向き合い,誠実で適切な対応法を選択し,それによって事件をスムーズに進め,結果として「難しい依頼者」の権利擁護を実現していただけたらと願っています。「難しい依頼者」とされる人々は,彼ら自身が人生の困難さに苦しんでいるでしょうから。 法律家に向けてパーソナリティ障害を伝えることには大きな意義があると仰り,本書の執筆を勧めてくださった藤山直樹先生に感謝申し上げます。 また,パーソナリティ障害についての深く,真摯なご見識のもとに,専門的な論考をお寄せくださるとともに,多くの貴重なご助言を下さった林直樹先生に,感謝申し上げます。 法と心理が交錯する領域での活動に導いてくださった早稲田大学臨床法227あとがき謝 辞あとがき

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