幼法
22/28

10第1章 保育園・幼稚園の開設で注意すべき点4 運営委託を行う場合の取決め 賃貸借契約書に記載されているか否かにかかわらず,貸主に無断で,借主が他の者に借りている部屋を貸すこと(いわゆる又貸し)は認められません(民法612条1項)。 加えて,多くの賃貸借契約書では,借主が他の者に部屋を使用させること,他の者の名義で電話・ファクシミリ等の通信設備を引き込むこと,他の者の名称を案内板に記載することなどが禁止されています。 このため,保育園の運営を他の者に委託する場合には,事前に貸主側に説明し承諾を得るとともに,賃貸借契約書を十分に検討し,運営委託になじまない条文がある場合には,これらの規程を適用しない旨,貸主との間で合意しておく必要があります。5 原状回復に関する取決め 保育園を開園する場合,バリアフリー条例に対応するためのスロープ等の設置,基準条例に対応するための採光及び換気用の開口部確保,二方向避難口の設置など,内装工事にとどまらず,建物の外壁に対しても大幅な変更を要します。 このため,このような改築内容について貸主の承諾を得ることはもちろんのこと,契約終了に伴う原状回復についても,どの程度まで原状を回復する必要があるのか事前に具体的に取り決めておくべきでしょう(例えば,バリアフリー条例に基づくスロープの設置は,建物にとって有用な設備であるから,原状回復の対象から除外しておくことが考えられます。)。留意点1 貸主との認識の齟齬が生じないように十分注意する。 貸主が保育事業に十分な知識を有しない場合,保育所開園に伴い大規模な工事を要することや,前記のとおり一般的な館内規則をそのまま適用しては保育園運営が成り立たないことを理解していないことが少なくありません。 この場合,後日,貸主から「建物を保育所として使用することは認めたが,大規模な工事や例外的な建物使用については一切認めていない」などと主張され,トラブルになることがあります。 このため,早い段階から,貸主に対して上記事情を丁寧に説明し理解を得

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る