時効理
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第1 本稿の対象19)商事消滅時効については,民法改正整備法4条7項(商法の一部改正に伴う経過措置)により,施行日前にされた商行為によって生じた債権に係る消滅時効の期間については,なお従前の例による,とされる。また,不法行為による損害賠償請求権に係る規定については,改正法附則35条1項は「旧法第724条後段……に規定する期間がこの法律の施行の際既に経過していた場合におけるその期間の制限については,なお従前の例による。」としている。の期間制限の削除(改正前民法151条)○ 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予の規定の新設(改正民法151条)○ 手続が時効の利益を受ける者との間でなされていない場合の当該時効の利益を受ける者への通知による時効中断(完成猶予・更新)がされる場合の範囲の拡大(改正民法154条)○ 天災等による時効の完成猶予の期間を3か月に伸長(改正民法161条)○ 債権の消滅時効についての主観的起算点及びその場合の時効期間の規定の新設(改正民法166条,168条)○ 人の生命または身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての特則(改正民法167条,724条の2)○ 定期金債権についての時効の規律の変更(改正前民法168条)○ 定期給付債権についての短期消滅時効の規定の削除(改正前民法169条)○ 職業別の短期消滅時効の廃止(改正前民法170条から174条まで)○ 不法行為による損害賠償請求権のうち長期の期間制限も時効によるものであることの明示(判例法理の不採用。民法724条)○ 商事消滅時効の廃止(改正前商法522条) それゆえ,本稿でも大きく改正前と改正後に分けて論じることはせず,必要に応じて改正点に論及することで進めていく。 なお,債権法改正の前後に係る法令の適用関係のうち,時効一般については,改正法附則10条が規定している。 同条のうち重要なものとしては,まず,施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって,その原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。)におけるその債権の消滅時効の期間については,「なお従前の例による」とされ,旧法関係による(改正法附則10条4項・1項)。19)したがって,施行日前に締結された契約に係る債権の時効期間は旧法によることになり,旧9

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