⑴ 除斥期間第1章 時効総論 20)このほか,改正法附則10条1項(民法145条の適用に係る経過措置),改正法附則10条3項(改21)ただし,期間経過前に相殺適状に達していたときは,民法508条を類推適用して,相殺は可能で22)これらの判例は,それゆえ,信義則違反や権利濫用の主張も主張自体失当であるとしている。23)なお,金銭の給付を目的とする国の権利については,「時効に因り消滅する」との規定があるが(会計法30条),別段の規定がない限り時効の援用を要さず,また時効利益を放棄できないとされる(同法31条。国税の徴収を目的とする国の権利に係る国税通則法72条2項も同様である。)。それらは,時効の中断(更新・完成猶予)についての民法の規定は準用されるとしており,除斥期間と時効期間の中間的な位置付けといえるかもしれない。24)起算点が権利行使時ではなく,権利発生時である点も有力に主張されるが,基本的には個々の法の規律は相当期間続くことになる。 また,施行日前に旧法上の時効の中断の事由や時効の停止の事由が生じた場合におけるこれらの事由の効力については,「なお従前の例による」とされ,やはり旧法関係による(改正法附則10条2項)。上述の仮差押え及び仮処分の時効中断効の差異や,時効の利益を受ける者への通知による時効中断(完成猶予・更新)がされる場合の範囲等において結論に差が出る場合があると思われる。20) 除斥期間は,判例上,「権利の客観的な行使期間」として位置付けられていると考えられる。21)この概念はドイツ法にもフランス法にもあるとされる。 除斥期間の特徴として,一般に,①当事者の主張の有無を問わず裁判所がその成否を判断しなければならないこと(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁,最判平成10年6月12日民集52巻4号1087頁22)),23)②時効の援用・中断の規定は適用されないことが広く認められ,また,③権利消滅の効果は遡及しないとも主張されている。24) もっとも,民法が「除斥期間」という概念の定義やその法的効果について規定しているものではない。そのため,最終的には,ある期間制限が「除斥103 隣接制度 時効制度の隣接制度等としては,例えば,除斥期間,権利失効の原則,抗弁権の永久性が挙げられる。正民法151条の適用に係る経過措置)に定める経過措置がある。あるとした判例はある(最判昭和51年3月4日民集30巻2号48頁)。規定の解釈の問題であろうか。
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