時効理
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第2章民法一般 今般の民法改正では,債権の消滅時効に係る起算点と時効期間が抜本的に見直され,消滅時効制度の単純化・統一化が図られたことを始めとして,時効障害事由の整備がなされ(「中断」と「停止」の概念がそれぞれ「更新」と「完成猶予」に置き換えられた。),消滅時効の援用権者の範囲が明文化されるなど,時効管理の実務に影響を及ぼす改正が行われた。改正民法の施行日に向け,施行日前後について生じた債権の消滅時効の規律については,改正前民法と改正民法のいずれが適用されるのかが問題になることから,経過措置の規定にも留意すべきである。そこで本章では,初めに今般の民法改正について取り上げ,時効に係る主な改正の内容と経過措置の概要について解説する。次に,従前から解釈上問題となっている実務上の論点についていくつか取り上げ,判例・学説の動向を解説するとともに,各論点について民法改正により実務上どのような影響があるかという点についても触れることとした。

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