成猶予」の概念に置き換えられた) 主な変更点は以下の3点である。① 債権の消滅時効における起算点と時効期間の見直し② 時効障害事由の整備(「中断」と「停止」の概念が「更新」と「完③ 消滅時効の援用権者の範囲を明文化Q1 消滅時効制度改正のポイント123解 説 民法(債権法)改正を内容とする「民法の一部を改正する法律」が平成29年5月26日に可決成立し,同年6月2日に公布されたが,かかる民法改正によって消滅時効制度に関して主にどのような変更がなされるのか。1 起算点と時効期間 改正前民法では,債権の消滅時効の起算点及び時効期間を「権利を行使することができる時から」10年間とする原則的な規定が置かれていた(改正前民法166条1項,167条1項)。改正民法は,これに加えて「債権者は権利を行使することができることを知った時」から5年間とする規律を追加した(改正民法166条1項1号)。 このように,原則的な時効期間として,改正前民法で定められていた客観的起算点から10年間の時効期間のほかに,新たに主観的起算点から5年間という期間も時効期間とする構成が採用された。 そして,これらの原則的規定の特則として,人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権(改正民法167条),定期金債権(改正民法168条)及び判決で確定した権利(改正民法169条)消滅時効に関する規定が設けられた。他方で,消滅時効の時効期間に関する規律を単純化するために,定期給付債権の短期消滅時効(改正前民法169条),職業別の短期消滅時効(改正前民法170条から174条)消滅時効制度改正のポイント 1
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