時効理
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Q14 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効,除斥期間に関する民法改正内容 改正前民法の「20年を経過したとき」(同法724条後段)という期間制限の性質について除斥期間ではなく消滅時効であることが明らかにされた(改正民法724条2号)。また,人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権について,主観的起算点からの時効期間を3年から5年に延ばした(改正民法724条の2)。 不法行為による損害賠償請求権について,改正前民法は,被害者又は法定代理人が「損害及び加害者を知った時」から3年(改正前民法724条前段),「不法行為の時」から20年(同条後段)で権利が消滅すると定め,期間制限を設けている。改正前民法724条前段の期間制限が消滅時効であるのに対し,改正前民法724条後段の期間制限の性質は除斥期間であるのか,それとも消滅時効であるのかについて解釈の余地を残していたが,この点について,今般の民法改正で「不法行為の時から20年間行使しないとき」には「時効によって消滅する」ことが明らかにされた。 改正前民法724条後段の期間制限の性質について,最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁は,当該期間制限が,被害者側の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を定めたものであるとして,除斥期間であるとの判断を最高裁判所として初めて示していた(最判平成元年12月21日民集43巻12号2209頁)。 その後の判例では,当該期間制限を除斥期間と解しつつも,時効の停止について定める民法158条の規定の法意(予防接種禍東京訴訟上告審判決・最判平成10年6月12日民集52巻4号1087頁),相続財産に関する時効の停止について定め155解 説 改正民法では,不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についてはどのように改正されたか。不法行為による損害賠償請求権の消滅時効,除斥期間に関する民法改正内容 14

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