説解5クールロイヤー制度を導入するに当たって、弁護士業界に必要なことを教えてください。必要ですが、教員経験や教員免許は不要であり、裁判経験が豊富な必要もありません。また、スクールロイヤー制度を導入するに当たっては、弁護士会で現職教員による弁護士向けの研修、現職教員との交流や情報交換の機会を増やし、弁護士が教育現場の実情と学校側のニーズを理解する機会が必要です。 スクールロイヤーが弁護士として最低限の能力が必要であることは当然であるが、その立場や期待される役割に鑑みると、スクールロイヤーは通常の弁護士以上に教育現場の実情を理解している必要がある。実際に、大半の弁護士はマスメディア等を通したレベルの教育現場の知識しか持っておらず、中には偏向的な情報を鵜呑みにする弁護士さえ存在する。特に、いじめや不登校等の子どもと学校の利害が対立する紛争では、いじめや不登校の原因を学校にのみ見出そうとするマスメディア序章 スクールロイヤー8 弁護士と教育現場の関係についての議論を整理した文献として、神内聡=五十嵐裕美子=中野敬子=坂本順子「学校現場への弁護士の関わりの諸態様と課題(弁護士部会の活動紹介とともに)」(スクール・コンプライアンス研究5号74〜82頁)等がある。9 最も初期の例としては、2007年に港区で導入された、区から委託を受けた港区の弁護士団体に所属する弁護士による、同区内の学校の校長を対象とした相談事業がある。それ以外にも、大阪府、滋賀県、岡山県等で、類似の相談事業が導入されている。10 なお、2018年4月〜5月にかけて放送された、NHKドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」では、非常勤で学校に勤務し、職員室に机が用意されている弁護士が主人公であるが、このように実際に学校で勤務する弁護士は筆者以外には実践や導入がほとんど進んでおらず、スクールロイヤーのイメージと実情の乖離を示唆するものである。11 日弁連「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」(2018)1頁。ている(小野田正利『「迷惑施設」としての学校』(時事通信出版局、2017)94〜99頁参照)。スクールロイヤーに求められる能力Q2スクールロイヤーにはどのような能力が必要ですか。また、スA2教育現場の実情を理解していることや、教育学の知見がある程度
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