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説解  学校内弁護士は、教員として学校で勤務する弁護士のことである。学校内弁護士は弁護士が教員として日常的に学校で勤務することにより、①「チーム学校」の一員として、教育現場で日常的に教員に対して直接助言や相談を行うことができる、②子どもや保護者と日常的に接することにより、子どもの人権を直接保障することができる、③学級経営や教科教育を弁護士が担当することにより、法教育に貢献できる、といった点で、スクールロイヤー以上に教育現場のサポートを行うことが可能である。  スクールロイヤーと学校内弁護士の最大の違いは、スクールロイヤーは弁護士のみの立場から教育現場に関与するのに対して、学校内弁護士は弁護士と教員の双方の立場から教育現場に関与する点である(表3参照) 。したがって、学校内弁護士は原則として教員免許が必要であり、教員として日常的に教育現場で勤務し、教科教育や法教育等の教育活動にも関わる(筆者の場合、教科教育だけでなく学級担任や部活動顧問も担当するので、学校で行う教育活動のほとんど全般に日常的に関与している)。学校内弁護士は日常的に教育現場にいるので、教育紛争に際しても教員に直接相談や助言を行う機会が日常的にあり、この点で紛争が発生した場合に初めて教育現場に関与するスクールロイヤーと決定的に異なる。また、スクールロイヤーは教員ではないため、生徒指導や校務分掌には原則として関与しないが、学校内弁護士は「弁護士資格を有する教員」としての立場で生徒指導や校務分掌にも関与するため、いじめ紛争や児童生徒への懲戒処分の事案で両者の役割には違いが生じる。 また、スクールロイヤーは学校設置者と委任契約に基づき相談や助言を行うため、受任者としての独立性が確保されており、学校設置者の意向にある程度は沿う必要性があるとしても、必ずしも従属的に相談や助言を行う必要はないが、学校内弁護士は学校設置者と雇用契約に基づき相談や助言を行う等は担当できません。スクールロイヤーは委任契約に基づき、学校内弁護士は雇用契約に基づき、それぞれ相談や助言を行うことから、利益相反の面でも違いがあります。序章 スクールロイヤー12

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