説解127また、災害共済給付の請求に必要となる報告書について、学校はどのように記載すればよいでしょうか。れず、これらに相当する金額は支給されないため、後日裁判等で争われる可能性があります。また、災害共済給付の請求の際には学校が作成する災害報告書が必要ですが、報告書には過失や因果関係を推認する事実を記載する必要はなく、時間、場所、傷害・疾病の内容等、請求に必要な事実を記載すれば足ります。 災害共済給付では、自由診療による歯の治療などの特別損害、災害による精神的損害の慰謝料、治療のための通院費、児童生徒の持ち物の破壊や紛失といった物的損害等に相当する金額は支給されないため2、これらの損害は当事者間において後日裁判で争われる可能性が高くなることから、学校はこれらの損害の有無をできる限り正確に認識しておく必要がある。 また、保護者が災害共済給付を請求する場合、学校が作成する災害報告書が必要になる3。災害報告書は学校事故が後日裁判で争われた際には重要な証拠として機能することも多いが、災害報告書は児童生徒の被害救済と、学校教育の円滑な運営の観点から作成するものであり、過失や因果関係など裁判上の損害賠償関係を証明するために作成するのではないため、報告書には過失や因果関係を推認する事実を記載する必要はなく、時間、場所、傷害・疾病の内容等、請求に必要な事実を記載すれば足りる。学校は、裁判上の証拠になり得ることを慮って報告書の作成を渋るあまり、災害共済給付手続を遅らせるような事態は避けるべきである(なお、災害報告書を保護者に開示する第 1 節 学校事故1 東京高判平成5年4月20日判時1465号87頁。災害共済給付で補填されない損害と報告書の記載方法Q49災害共済給付により補填されない損害について教えてください。A49特別損害、精神的損害の慰謝料、通院費、物的損害等は補填さ
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