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131第 1 節 学校事故することは困難だったと思われ、東日本大震災では指定避難場所でも被害を受けた場所もあったことから、児童を帰宅させずに指定避難場所だった小学校の体育館で待機させたとしても必ずしも安全とは言えないような状況であった。筆者としては、このような未曾有の大災害の下で示される裁判例を先例として重視するのは、学校法務の観点からは躊躇するものである。であれば学校は法的責任を負う可能性があると理解されていますが、具体的にはどのような場合に学校は法的責任を負う可能性がありますか。強制する活動において生じた事故については、学校が法的責任を負う可能性があります。判例は「部活動」「始業前」「休み時間」「清掃時間」「放課後」「登下校中」「教室」「体育館」「廊下」「校庭」等、あらゆる活動、時間、場所が学校の教育活動と密接に関連すると広く捉えていますが、学校事故が起きた教育活動、時間帯、場所の特徴を教育現場の実情を踏まえて的確に理解した上で学校の法的責任の成否を検討すべきです。4 文科省「学校事故対応に関する指針」参照。5 この指針は、学校が行う事故調査の手法については非常に詳細な記載がある。しかし、6 同行する教員としては、学級担任、部活動顧問、学年付の教員が多い(養護教員は学校7 例えば、札幌地判平成4年3月30日判時1433号124頁は、アレルギー症状を訴えた児童に対し、保護者に連絡の上児童1人で帰宅させたところ、帰宅途上で児童が死亡したという事案であるが、教員に学校で応急措置をとるべき義務や教員が下校時に同行すべき義務があったとして、過失を認めている。8 仙台地判平成28年3月24日判時2321号65頁。学校事故の調査はそれ自体学校が主体的に行うことには負担が大きく、調査能力の限界もあることから、事故調査について詳細なガイドラインを設定することは、むしろ学校の負担を増やすものであって必ずしも望ましいとは言えない。を不在にすることが難しいため、ほとんどの場合同行しない)。学校事故と法的責任の範囲Q51学校事故では、「学校の教育活動と密接な関係を有する活動」A51教育課程外の教育活動や時間帯であっても、学校が児童生徒に

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