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解説起きた教育活動、時間帯、場所の特徴を厳密に検討できていない。スクールロイヤーの導入で弁護士が教育現場に接する機会が増えるならば、学校事故が起きた教育活動、時間帯、場所が教員にとってどのような教育的特徴を持っているのかという意識の下に、教育現場の実情を理解しながら判例が示す教育活動との密接関連性を判断すべきである。ついて教えてください。内在しているかどうか、②児童生徒の年齢や障害など、当該教育活動に必要な能力を児童生徒が有しているか、③上記①②を踏まえて、教員があらかじめ注意喚起や事故防止のための指導を行っていたか、といった点を検討して教員の注意義務の程度を判断します。  判例や学説は「学校の教育活動の一環であり、教育活動と密接に関連する活動」に関しては学校の法的責任が及ぶと解するので、法定の教育課程に含まれる授業や特別活動で生じた事故において学校に法的責任が成立し得ることは当然だが、法的責任の成立要件である「過失」については、「学校における教育活動により生ずるおそれのある危険から生徒を保護すべき義務」としての注意義務の違反の有無が検討される。どのような場合に注意義務違反が認められるのか、どの程度の注意義務が求められるかは、事案によって異なる。例えば、授業中の事故について、小学第2章 教育紛争の典型と問題1349 秋田地判平成7年9月22日判時1579号124頁。なお、この裁判例は「休憩時間中のトイレ内での暴行というように、教師の直接的な指導監督下にない時間、場所で発生する生徒間の暴行事件については、当該具体的な状況下で予見することが可能な範囲内で、暴行発生の危険性及び切迫性を判断し、その程度に応じた指導、保護的措置を講じれば足りるものと解するのが相当である」と判示し、結論として教員の法的責任を否定した。学校事故の注意義務の程度Q52授業など教育課程の活動で教員に求められる注意義務の程度にA52①事故が起きた教育活動自体に当該事故を生じさせる危険性が

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