員数で新しい法令等が要求する「理想」に対応せざるを得ず、法令等が制定・改正されるたびに負担を強いられてきました。また、裁判所は学級担任や部活動顧問が法令の根拠もなく多大な負担を強いられていることを知りながら、法的責任を限定するどころか拡大する法理で負担を増大させてきた結果、海外と比較しても例を見ない日本独特の教育制度の下で、教員にとって過酷な法的リスクを負わせる教育法が構築されてしまいました。そして、弁護士は子どもの人権を保障するためには教員が余裕を持って仕事ができる労働環境が必要不可欠であることを念頭におくべきですが、これまでの弁護士業界は教育現場との接点を積極的に持とうとせず、教員の過酷な労働環境の改善には十分に取り組んできませんでした(過酷な教員の労働環境の中で子どもたちにワークルールを教えようとする「ワークルール教育推進法」の制定を推進しようとする弁護士業界の動向は、滑稽なアイロニーにすら感じられる)。これら三者が謙虚に反省しないならば、たとえスクールロイヤーを導入しても教員との間に信頼関係を構築することは不可能であり、結果としてスクールロイヤーは定着しないでしょう。 もう1つは、スクールロイヤーがいじめの防止や保護者対応を主眼に導入されるとしても、それによって教員の負担が軽減されると過大評価せず、教員の過酷な労働環境を根本的に解決するには、教員数を増やすこと以上に有効な手段がないことをスクールロイヤー自身が自覚することです。日弁連は「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」で、スクールロイヤーの導入が教員の業務負担の軽減につながることを示唆していますが、筆者はその点に疑問を抱いており、教育現場の実情を理解しない弁護士がスクールロイヤーになれば、教員の負担はかえって増大するおそれすらあるでしょう。スクールロイヤーが教員の負担軽減に資するためには現在の弁護士会で実施している研修内容では不十分であり、現職教員との交流の機会を増やして弁護士が教育現場の実情を理解する研修を増やすことが不可欠です。 筆者は、教員ほどやりがいのある仕事は他に存在しないのではないかと考えています。もちろん、弁護士には弁護士でしか経験できないやりがいがあおわりに459
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