な供事
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事 例3 Aは,Bに対して,土地売買代金支払債務(平成29年4月19日売買契約,支払期日及び支払場所定めなし)を負っていますが,Bは平成29年5月12日に死亡しました。Bには,配偶者,直系尊属及び兄弟姉妹はなく,第1順位の相続人であるBの子ら2名は同年6月16日と同月23日にそれぞれ相続放棄し,第2順位の相続人であるBの兄の子Cは同年7月4日に相続放棄したため相続人がおらず,相続財産管理人も選任されていない状況です。 このような状況においては,最終の相続人であるCが,民法940条により相続財産の管理義務者になると考えられるので,Cに弁済の提供をして受領拒否された場合,受領拒否を原因として供託することは可能でしょうか。回 答【相続人全員が相続放棄をした場合の最終の相続人に対する受領拒否を原因とする弁済供託の可否】 最終の相続人であるCに対して,土地売買代金の全額を提供し,受領を拒否された場合には,受領拒否を原因とする弁済供託をすることができます。 なお,供託書における被供託者の表示は「(亡Bの最後の住所)亡B相続財産」とし,供託の原因たる事実欄にCが民法940条の管理義務者である旨,及び全額の弁済の提供をして,Cに受領拒否された旨を明記し,Cの住所地の供託所で供託することは可能です。解 説 債権者の相続人全員が相続放棄した場合に,最終の相続人に対して弁済の提供をし,受領を拒否された場合は弁済供託ができるという事例です。29第2 供託の申請手続

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