1 中小企業のM&A第第11章章第第11 概 説 概 説1 M&Aとは M&Aは,Mergers and Acquisitionsの略で,直訳すれば合併と買収になります。 M&Aには,企業グループ内での再編も含まれますが,企業グループ間を跨った企業買収が中心に論じられます。また,広義の概念としては,資本提携などの提携も含まれるとされていますが,実務上は,支配権に影響を与えるような大規模な資本提携以外は,M&Aとして整理するよりは,「提携」として別個に論じられる例が多いでしょう。2 M&Aのメリット⑴ 買い手のメリット⑵ 売り手のメリット1 中小企業のM&A 3 買い手にとってのM&Aのメリットは,端的にいえば時間と投資金額の削減です。新規事業を立ち上げ,成長させることと比較し,既に実績ある事業を取得する方が,必要とする時間を大幅に削減できることは明らかです。また,自ら新たに事業を構築するのと比較して,M&Aにより事業を取得する方が投資金額が少なくなる例もあります。 このようなM&Aのメリットが浸透したため,経営戦略の一環としてM&Aが選択される例が一般化しつつあります。事業規模の拡大,事業の多角化,ポートフォリオの組み替え,技術・ノウハウ,ブランド,取引先の獲得のためなどにM&Aが広く用いられています。 一方,売り手にとってのM&Aのメリットは,売り手の置かれた状況によって多様です。 競争を生き残るには,得意分野,成長分野に経営資源を集中させる必要が中小企業とM&A中小企業とM&A
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