中小M
37/50

1 中小企業のM&A 5ることはないでしょう。 他に,不動産を所有することを目的としたいわゆる資産管理会社のM&Aが,相続の発生により,又は相続を見据えて増加しているといわれています。2 特 色 中小企業のM&Aの特色としては,以下の3点を挙げることができます。① 取引の規模が少額であること② 企業価値が毀損されやすいこと③ 社内管理体制の整備が不十分であること① 取引の規模が少額であること M&Aの対象企業の規模が大きくないため,取引(ディール)の規模が比較的少額になる例があります。 そのため,費用との関係もあってFA(フィナンシャル・アドバイザー)が関与しない案件が多く存在します。このような案件においては,関与する弁護士等専門家が,M&A案件全般にわたって助言・支援する必要が生じます。 また,専門家費用が十分に用意できない事態も生じることから,デューデリジェンス(以下,「DD」という。)など相当な費用が必要となる手続の実施にあたっては,効率的・効果的に行う工夫が必要となります。② 企業価値が毀損されやすいこと 中小企業の場合,代表者等特定の人物に経営を依存しているケース,その企業が有する特定の技術,製品,取引先により収益が成り立っているケースが多々あります。 M&Aの実行により,キーパーソンが退職する事態が生じたり,取引先との関係が途絶えるのであれば,買い手にとって買収したことが無意味になってしまいます。そのため,M&Aに際しては,情報管理,DD,契約条項などに十分な配慮が必要となります。③ 社内管理体制の整備が不十分であること 中小企業の多くは,大企業と比較して,社内管理体制が未整備です。 計算書類の信頼性,会社法・労働法等法令の遵守,社内規程・契約書類等の文書類の作成・保存などが十分でないことは珍しくありません。そこで,スキームの選択,DDの実施,契約書の作成にあたっては慎重に対処する必要があります。 中小企業のM&Aにおいては以上のような特色ないし問題点があるため,

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る