加えて,本書の特徴としては,M&Aの異なる手続同士の関係に意識して横断的に記述していることです。例えば,デューデリジェンスであれば,その実施手続や留意点を解説するだけではなく,発見された問題点が及ぼすスキーム選択や最終契約書への影響についても詳細に記載しています。このように,各手続がM&A実施過程の全体においてどのような位置づけにあるか,また他の手続とはどのような関係にあるのかを理解して頂くことが,本書のもう一つのテーマとなっております。 また,第2部においては,M&A実務をより理解して頂くために,「経営戦略」,「事業承継」,「事業再生」に係る12事例を紹介し,問題点の解決方法について,具体的事例に即して説明しています。 本書の中心的読者層は弁護士を想定していますが,M&Aに関する網羅的,横断的知識を基本的事項から丁寧に説明するという本書の性格から,公認会計士,税理士,司法書士といった専門家,M&Aに関わる企業の皆様にも是非ご一読頂きたいと考えております。 本書が,中小企業のM&Aマーケットの拡大に僅かでも寄与することができれば,執筆者として望外の喜びです。 最後になりますが,本書を刊行することができたのは,多くの皆様のお力添えがあってのことです。主に公認会計士・税理士の執筆部分については,大型案件やクロスボーダー案件を含めM&A実務に精通されている有限責任あずさ監査法人の吉形圭右先生に監修をお願いしました。本書の刊行にあたっては的確なご助言を頂いております。もちろん,日本加除出版社の鶴﨑清香様のご尽力がなければ本書の刊行は実現しておりません。深く御礼申し上げます。 2018年8月iv 初版 はしがき加 藤 真 朗
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