法破産
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 「破産したら借金を返さなくてよくなるんだよ。」 「それなら,破産した方が得になるんじゃないの。」 「だから借金いっぱいしてから破産したらいいんだよ。」 「身勝手な借金をしておきながら,返さなくてよくなるなんて,おかしい。」 「まじめに生活している者がバカをみる。」 「遊ぶために借金して,借金まみれになった者を助けるなんておかしい!」 「いい加減な人間が,いい目をみるなんて,許されるわけがない!」5 平成4年頃から不況(バブル崩壊)のあおりを受けて,「自己破産」の申立案件が増加しました。当時は,クレジットカードでの買い物の浪費(「カード破産」とよばれました),サラ金などの消費者金融からの多額の借金が原因となる破産申立て(「消費者破産」とか「サラ金破産」とよばれました)が多数あり,マスコミによる報道でも, 「借金をしても自己破産をすれば,借金を返さなくてよくなる。」というストレートな報道もありました。そういう風潮の中,世間の人々は等々,破産という手続について批判的な意見が多く聞かれました。 たしかに,「借金を返さなくてもいい」というのはおかしな話だと思うでしょう。でも,破産法が制定された目的は,破産法1条にあるように,① 債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整② 債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る③ 債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることにあります。破産法第1条 「支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする」***1 破産法の目的 ── 破産事件の誤解?

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