9 破産法は,原則として,破産管財人を選任し,破産手続を進めるとしています。ですから,「破産管財事件」(「管財事件」といいます)は,破産事件の本筋といえます。 管財事件の手続ですが,まず,地方裁判所により破産手続開始決定が出されると同時に破産管財人が選任されます(破31条1項)。そして,破産者が破産手続開始決定時に所有していた財産(本来的自由財産を除く)によって「破産財団」ができあがります。破産管財人は,破産財団の財産を換価処分して(つまり,現金化するのです),換価して得た金銭を債権者に対し公平に配当します。しかし,破産財団(破産者の財産)にある財産の換価・処分や,破産管財人が行う手続には,相応の費用が必要となります。そういった費用は破産財団にある財産を現金化して得たお金と申立債権者によって予納された費用(予納金)から支出されるので(つまり,破産財団が支出するので),そのような必要な費用等を除いて(控除して)残ったお金が債権者への配当に充てられるのです。だから,手続が複雑で長引いたため,多額の費用がかかり,最終的に破産手続を進めるための費用すら不足する,又は,債権者へ配当できるだけのお金が残らない,ということもあり得ます。 このように,最終的に破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められるとき,破産管財人の申立てもしくは職権によって,その段階で配当に至らず破産手続終了する決定がなされます。これを「破産廃止」といい,管財事件として破産手続が始まったが,手続を進めていくうち,破産財団の財産が破産手続の費用を支弁するのに不足すると認められ,配当に至らず廃止の決定がなされる場合を「異時廃止」といいます(破217条1項)。2 破産事件(手続)の種類⑴ 破産管財事件
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