【大阪地方裁判所での基準】① 債権者数が200人以上の場合② 訴訟により相当額の財産の回収が見込まれるが,相手方が実質的に争うことが予想され,そのために6か月以上の期間を要すると見込まれる場合③ 不動産が各地に多数存在する,売掛金が著しく多数存在する④ 債権者申立て又は本人申立て等の事件で,破産者に申立代理人等がいないために財産調査に困難性があり,そのために6か月以上の期間を要することが見込まれる場合⑤ 債権者集会を複数重ねる方法で進行管理することが安全面や施設面からみて不相当な場合 ただし,これらはあくまでも目安となる基準なので,①~⑤のどれかにあてはまっても,一般管財事件として処理することに支障がないと考えられる案件もあるし,また逆に,一般管財事件として申し立てられた事件であっても,その事件の個別事情から,個別管財事件とする方が相当であると裁判所により判断され,個別管財事件として処理されることもあります。 申立人が債務者である場合(自己破産),現金・預貯金・不動産などの「プラスの財産」がほとんど無い,ということがあります。このように最初から破産財団を構成する財産そのものが無いことがはっきりしているのであれば,破産管財人を選任しても配当に至らず廃止となることは明らかです。そこで,破産法では,申立てがあった自己破産事件で,最初から破産者の財産が乏しく,破産管財人を選任しても破産手続を進める費用すら出せないことが明らかな場合は,裁判所が破産手続開始と同時に破産手続を終了させることができるとしました。これを,「同時廃止」といいます(破216条1項)。 同時廃止となった事件は,破産手続開始決定と同時に破産廃止決定が出され,破産手続は,終了します。12第Ⅰ章 知識編⑵ 同時廃止(破216条1項)
元のページ ../index.html#30