一週間前に手続案内を尋ね、離婚と面会交流の申立書を受け取ったが、結局、離婚調停の申立ては、面会交流調停の推移を確認してから考えることにして、まずは悠人との面会を求める申立てだけをすることにしたのだ。離婚の場合、親権は何があっても譲れない気持ちだが、世間体を重んじるであろう夫や義父を相手に正面から離婚を争っては、いつ悠人に会えるか分からない、手続案内で調停の種類や進め方の説明を受け、小百合なりに考えた末の戦術であった。 「申立書、事情説明書はこれで結構です。住所や連絡先など、相手方に非開示を希望する情報はありませんね。この複写式になっている申立書は、調停期日通知と一緒に相手方に送付されます。相手方に見られて問題がある内容はありませんね。切手と収入印紙もこれで間違いありません。あと、聞いておきたいことはありますか?」受付で対応してくれた若い男性職員は、丁寧だが淡々と事務を進めていく。 「あの、できるだけ早く進めて欲しいのですが、調停が始まるのはいつ頃になるのでしょうか」できれば悠人の小学校入学前に離婚して悠人を引き取りたいと思っていたのに、自身の体調不良もあって随分と時間が経ってしまった。小百合としては一日でも早く進めて欲しい気持ちで一杯であった。男性職員は、少し申し訳なさそうに 「通常ですと一か月後くらいには初回期日が指定されますが、年度末から年度初めにかけては期日が入らないので、連休前後になってしまうかもしれません」と答えた。 「そうですか」覚悟はしていたが落胆は隠せなかった。 「あの、調停が始まるまでに何か準備をしておいた方が良いこととかあるのでしょうか?」23 4 家事手続案内と調停申立て
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