12_実調面(右開き)
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5 海南家庭裁判所と笑っていた。しかし、家を出るころには、悠人は、自分から祖父に近づいたり、話しかけることはほとんどなくなっていた。幼い悠人なりに家族のぎくしゃくした雰囲気を察していたのかもしれないと思うと、胸が締め付けられる思いであった。⑴ 調停期日及び調停委員の指定 「前田主任書記官、インテーク終わりましたので、記録お返しします」富士家庭裁判所調査官は、インテークを終えた事件記録を前田主任に返還した。 「期日立会い命令をもらう事件はありましたか」 「いえ、今日は全件調停先行意見です」前田主任は、記録の授受簿に押印しながら、母親が小学生の子との面会を求めている事件がありましたが、あれも調停先行ですか、と富士調査官に尋ねた。 「はい。実は、最初は初回立会い意見だったのですが、中山主任調査官の指導でまずは調停委員による聴取をお願いすることにしました。そういえば、中山主任から調停委員の指定にあたっては、どちらか一方に面会交流に慣れている先生をお願いするよう言われていました」 「分かりました。任せてください」前田はうなずいた。用語解説【インテーク】 インテークは手続選別と呼ばれています。申立てから間のない段階で,家庭裁判所調査官(以下,調査官という。)が申立書,戸籍等の限られた情報から進行についての見立てを行い,調査官関与の必要性,調停進行の指針などについて,定型の書面で意見具申を行います。27  5 海南家庭裁判所   

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