12_実調面(右開き)
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i  はしがき裁判所主任家庭裁判所調査官)三名は、これまで各庁において面会交流事件に関わってきたが、横浜家庭裁判所にお面会交流とは、婚姻中の父母が別居している場合、または父母が離婚した場合において、別居親が子と直接に会い、又は電話や手紙、メールなどを用いて交流することであるが、家庭裁判所が扱う家事事件のうち、面会交流が争点となる事件数は、当事者の意識の変化もあり、増加している。面会交流をめぐる紛争の傾向としては、同居親は、別居親の不貞や子の拒否等を理由に、頑なに面会交流を拒み、一方で、面会交流を求める別居親は、子どもとの別れからの喪失感や子どもと生活している同居親に対する抗議の思いなどから強硬に面会交流の権利を主張することで、両者が激しく対立し、その対立関係等が子どもに影響を与える事案が少なくない。面会交流事件の難しさは、このような同居親と別居親との間の感情的葛藤を取り払い、両親間の紛争の影響を受けずに、子どもにとって望ましい解決方法を調整することにある。執筆者の岡武(東京家庭裁判所判事)、萱間友道(那覇家庭裁判所次席家庭裁判所調査官)及び馬場絵理子(宮崎家庭いて裁判官、家庭裁判所調査官として執務した際、特に感情的対立が激しい面会交流事件等をそれぞれ担当し、子どもにとって望ましい解決方法を模索した経験があったところ、面会交流の審理方法等につき、実務家や研究者による議論が深まり、面会交流に係る重要な裁判例が示されていることを受け、実務家の視点に基づいて、実践的な調停運営を示す実務書を作成することを思い立ち、約二年間にわたり協議を重ね、今般、本書の完成に至った。本書は、面会交流を阻害する要因がある架空のケースの面会交流調停事件において、調停委員会と家庭裁判所はしがき    

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