面会交流については、子どもの幸せを第一に考えなければなりません。しかし、パートナーとしての感情的な争いや葛藤を解決しきれない子どもの父母にとっては、パートナーとしてうまくいかなかった相手を子どもの親として尊重したり、親としては良いところがあると認めることは容易なことではありません。これが面会交流の難しさの一つです。子どもの父母には、パートナーや元パートナーの問題と切り離して、子どもにとってより良い面会について考える姿勢が求められますし、援助者には子どもの視線に立つような働きかけと同時に、父母の挫折や葛藤を理解する姿勢が欠かせません。藤田「ええ。それができないと、リーフレットやガイダンスDVDなども一般論としては分かるけど、自分滝山「ご経験がないと言われますが、藤田さんはかなり本質的な問題をつかんで考えておいでですね。藤田「それぞれのケースにおける個別具体的な実情が大切ということなのですね。私は、とにかく面会交流滝山「説得が必要な場面もあるかもしれませんが、面会交流に限らず、どの事件類型の調停でもまずは個別かけ、調整していくことがとても重要だと言われています」たちの場合は別の事情があるという感じの争いになってしまう怖れがある気がします」当事者も一般論としての面会交流の意義そのものに反対する方は少なくなった気がします。調停を進めるに当たっては、当事者それぞれに一般論をご自身の問題として理解していただくように説明することが大事だと思います。そしてそのためには、実際に調停を進める中で、個別具体的な実情やそれぞれの心情を把握することが大切です。そのうえで面⑤会交流ができない要因を把握、整理して調整していくことになります」に応じてもらうよう説得しなければならないと考えていました。少し勘違いをしていたようです」具体的な実情把握が大切だと思います。同じような紛争でも、それぞれの家族が異なるように、同じも第2章 調停委員会による調整事例╱ケース1 30
元のページ ../index.html#50