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p5Zoom u 面会交流実施の隘路を克服するための方策面会交流実施の隘路を克服するための方策31  5 海南家庭裁判所 面会交流の実施をめぐっては,当事者間の対立が激しいため進行に困難を覚える事案は少なくありません。その要因としては,①夫婦,元夫婦間の感情的対立が解消しておらず,面会交流の意義を十分に理解できないこと,②別居親が現実的ではない面会交流の方法を主張したり,同居親が面会交流の実施について漠然とした不安を抱えていること,③子どもが面会を拒否していることなどが挙げられます。 このような隘路を克服するための方策として,①については,面会交流に関する各種リーフレットの活用,DVDの視聴,家裁調査官による事実の調査・調整,子どものためのガイダンスの実施が考えられます。また,②については,家裁調査官による事実の調査・調整の活用,調停委員会による同居親の不安を解消するための別居親への働き掛けやそれを踏まえた同居親への働き掛けが重要です。③については,調査官による子の意向・心情についての調査があります。また,面会交流の試行,期日間における当事者同士による任意の面会交流等の活用も有用です。2 本件当事者は,婚姻中の夫婦で,記録からは双方とも今後の夫婦関係についての意向が明確になっていないことから,面会交流以外の争点として,離婚そのものを巡る争いや子どもの監護者指定を巡る対立などが出てくる可能性がある。その場合には,基本的には面会交流調停なので,その他の争点と面会交流を切り分けて進める必要があるが,進行に迷うようであれば評議を要請して裁判官の意見を求めることにする《  進め方の打合せにおける確認事項》1 双方に代理人がついておらず,記録から把握できる実情は限られていることから,初回期日である今日は,ある程度時間を取って双方から概括的にこれまでの生活や紛争の実情を丁寧に確認する必要がある

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