2 調整段階 導入段階で把握した実情を基に,面会交流を妨げる要素を整理し,何が解消されれば面会交流実施に話が進むのかを見極めていきます。⑴ 当事者の感情整理 ほとんどのケースでは,当事者の感情が問題となります。当事者の話をじっくりと聴くことで気持ちを受け止め,感情を解きほぐしつつ,当事者の紛争と子の問題とは分けて考えるよう,働き掛ける必要があります。感情以外に,具体的な問題が明らかな場合には,当事者と問題点を共有し,どのような方策が解決に有効か当事者に考えてもらいながら,適度に助言をしていきます。⑵ 子の福祉の視点への転換 面会交流は,子の福祉に資する目的で行うものであるため,子の視点に立って現実的に考えてもらえるよう,助言や示唆が必要になります。必要に応じて,ツールや調査官調査の活用を検討してください。3 最終段階⑴ 面会交流実現に向けた条件の検討 ある程度,長期的に実現可能なものを意識する必要があります。検討は,まずは当事者双方に条件の提示を求め,それを元に進めます。⑵ 調停条項案の提示 当事者双方に,信頼関係や柔軟性が感じられる事案の場合,大まかな内容を決めておき,当事者及び子の状況により,適宜,自分達で変更できるような条項が考えられます。一方,当事者双方に,信頼関係がなく,柔軟性が期待できない事案の場合は,ある程度,詳細に条項を詰めておきます。また,初めから固定的に条件を決めるのではなく,実施の間隔を徐々に短くしたり,実施時間を徐々に延ばしたり,他の交流方法を組合せたりするなど,段階的に条件を変化させる条項を検討することも考えられます。4 まとめ 面会交流調停における手続進行は,前頁のとおりです。第2章 調停委員会による調整事例╱ケース1 38
元のページ ../index.html#58