主任書記官)、新藤正博さん(前橋家庭裁判所家事部訟廷管理官)、片桐真由美さん(裁判所書記官)、金尾博志さん(東京家庭裁判所家事第三部主任書記官兼裁判所職員総合研修所教官)、久保与志也さん(東京家庭裁判所家事第五部書記官)、勅使調査官による面会交流の実施に向けての働き掛け等により、当事者の感情の葛藤を緩和させ、同居親及び別居親の様々な懸念に配慮することで、当事者の情緒的な混乱が鎮まり、当事者が子どもにとって望ましい解決方法を模索し、子どもとの関係性を再構築させ面会交流を実現していく過程を示したものである。なお、本書は、面会交流調停の在り方として、阻害事由の軽減、克服を目指すことの大切さを示したものであり、全ての事案で面会交流を実施すべきとの方向性を示すものではない。本書の特徴として、第1章において、筆者三名の個人的な面会交流の考え方と基本的視点を明らかにした上で、第2章・第3章(ケース1・2)においては、当事者の感情や思考の変化の過程を追い、重要場面における当事者、調停委員の発言の意味などを「ポイント」として摘示した。また、家庭裁判所調査官の視点に基づく分析や指針については「中山EYES」として論述し、さらに、実務担当者の視点を「Zoom up」としてまとめるなどして、読者の理解を深めるための工夫を図った。加えて、第4章においては、ケース1・2において触れることができなかった面会交流に係る諸問題(禁止・制限事由及び阻害事由、第三者機関、間接強制等)における最近の実務上の留意点と裁判例を紹介しつつ、適宜、実務担当者としての視点や裁判例の批評を「コメント」として説明を加えた。また、大森啓子弁護士の「手続代理人から見た面会交流」のコラムは、弁護士の視点から面会交流における代理人活動の実情と今後の課題等を指摘するもので、実務の運用につき示唆に富んだものである。本書が、面会交流事件を担当している実務家、研究者の参考になれば幸いである。最後に、業務繁忙の中、秋枝和子さん(さいたま家庭裁判所家事部訟廷管理官)、仁尾光宏さん(横浜家庭裁判所家事部 はしがき ii
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