2 共同利益背反行為の類型⑴ 専有部分又は共用部分における共同利益背反行為ア 専有部分と共用部分の区別 マンションのような区分所有建物の場合,一戸建ての建物と異なり,複数の者が一棟の建物内にある各部屋を所有しています。区分所有法1条は,「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居,店舗,事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは,その各部分は,この法律の定めるところにより,それぞれ所有権の目的とすることができる。」と定め,このうち区分所有権の対象となる部分(法4条2項に定める規約共用部分を除いた部分です。)を「専有部分」と定めています(法2条3項)。これを言い換えると,専有部分とは,建物内における「構造上区分された数個の部分」であり(構造上の独立性),かつ,「独立して住居,店舗,事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」(利用上の独立性)と定義することができます(最判平成5年2月12日民集47巻2号393頁)。 一方で,「共用部分」とは,①専有部分以外の建物の部分,②専有部分に属しない建物の附属物,及び③区分所有法4条2項の規定により共用部分とされた附属の建物(規約共用部分)の総称です(法2条4項)。 専有部分は,区分所有権の対象として,区分所有者の排他的独占的支配権が及ぶため,原則として管理組合1)の管理の対象には含まれません。他方で,共用部分は,区分所有者の共有となる(法11条1項)ため,管理組合の管理の対象となります。共同利益背反行為を検討する場合,共用部分は,専有部分とは異なり,排他的独占的支配権が及ばないため,団体的拘束を受けやすく,共同利益背反行為に該当しやすくなると考えられます。2 共同利益背反行為の類型1)本書では,区分所有法3条前段の「区分所有者は,全員で,建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」により構成される団体を「管理組合」といいます。5
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