第1 監査等委員会設置会社制度の創設わち,監査等委員会設置会社は,①取締役の過半数が社外取締役である場合,及び②定款に委任することができる旨の定めがある場合には,取締役会はその決議によって,法定のものを除く重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができるとされています(会社法399条の13第5項,6項)。なお,定款に②の定めがある場合には,その旨が登記されます(会社法911条3項22号ハ)。 なお,監査等委員会設置会社においても,原則として,重要な財産の処分及び譲受け並びに多額の借財について,特別取締役による議決の定めを設定することが認められています(会社法373条1項)。一方,監査等委員会設置会社において,①取締役の過半数が社外取締役である場合(会社法399条の13第5項)及び②取締役会の決議によって重要な業務執行の決定の全部又は一部を取締役に委任することができる旨の定款の定めがある場合(同条6項)には,重要な業務執行の決定を大幅に取締役に委任することができるため,特別取締役による議決の定めを認める必要性に乏しいとされて,その場合には,特別取締役による議決の定めを設定することができないとされています(会社法373条1項)。⑹ 監査等委員会設置会社の代表取締役 監査等委員会設置会社の取締役会は,監査等委員である取締役以外の取締役の中から代表取締役を選定しなければならないとされています(会社法399条の13第3項)。すなわち,監査等委員である取締役は,業務執行取締役を兼ねることができないとされていますので(会社法331条3項),代表取締役として選定されるべき取締役は,監査等委員である取締役以外の取締役ということになります。 なお,設立時代表取締役の選定は,設立時監査等委員である設立時取締役を除く設立時取締役の中から,設立時取締役の過半数をもって決定することとされています(会社法47条1項・3項)。 監査等委員会設置会社の業務執行は,監査等委員である取締役以外の取締役の中から選定された代表取締役と業務執行取締役が行います(会社法399条の13第1項3号・3項,363条1項)。9
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