第2章 商業登記規則の改正の概要82⑷ 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議があったものとみなされる場合 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において,議決権を行使することができる株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは,当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされます(会社法319条1項)。 株主総会又は種類株主総会の決議について,会社法319条1項(同法325条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があったものとみなされる場合にも,それぞれの株主リストを添付しなければならないとされています(商業登記規則61条3項。前掲通達)。⑸ 登記申請の却下 改正省令により株主リストを添付すべきとされた登記申請においては,同リストが添付されないときは,商業登記法24条8号の登記申請の却下事由に該当すると解されています(民事月報71巻8号47頁)。なお,同号の却下事由に該当する場合とは,形式的に株主リストが添付されない場合だけでなく,添付された株主リストに必要な人数の株主の記載がない場合や,氏名又は住所等の株主リストに記載すべき事項についての記載が欠けている場合もこれに該当するものと解されています(前掲書)。 また,株主リストが添付された場合でも,その内容が登記事項又は他の添付書面と合致しないときは,商業登記法24条9号の却下事由に該当するものと解されています(前掲書)。4 経過措置 改正省令は,平成28年10月1日から施行されていますが,改正省令の施行前にされた登記の申請については,商業登記規則61条2項又は3項の規定にかかわらず,なお従前の例によるとされています(改正省令附則2項)。したがって,改正省令の施行前に申請がされた登記の申請書であって登記がされていないものについては,改めて株主リストの添付を要しないとされていますが,改正省令の施行後にされた登記の申請については,株主総会の決議等がその施行前にされたものであっても,株主リストを添付しなければなり
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