新・株式会社の登記実務
44/54

第3章 株式会社の登記株式会社の設立の手続はどのようなものですか。 株式会社の設立手続には,発起設立と募集設立の2種類があります。この2つの手続の差異は,発起設立は,会社が設立に際して発行する株式(設立時発行株式)の全部を発起人が引き受けるものであり(会社法25条1項1号),募集設立は,設立時発行株式の一部を発起人が引き受け,残りにつき株式を引き受ける者を募集するものです(同条1項2号)。各発起人は,設立時発行株式を1株以上引き受けなければなりません(会社法25条2項)。 なお,発起人は,自然人・法人のいずれであってもよいとされています。また,員数の制限はないので1人でも足りるとされています。 会社法では,株式会社の設立に関して,準則主義がとられていますので,法人の成立のため必要とされる法律上の一定の要件を充足する手続を履行しなければならないとされています。具体的には,①会社の根本規則である定款の作成(会社法26条),②会社の構成員である株主の確定(会社法25条2項,36条3項,60条,63条3項),③物的有限責任の裏付けとなる出資の履行(会社法34条,63条),④取締役等の機関の選任(会社法38条,88条)が要求されています(江頭憲治郎「株式会社法 第7版」(有斐閣,2015)59頁)。1 発起設立の手続 発起設立の手続の流れは,①発起人による定款の作成(会社法26条),②公証人による定款の認証(同法30条),③設立時発行株式に関する事項の決定(同法32条),④検査役の選任・調査(同法33条),⑤発起人による出資の第3章 株式会社の登記102第1 株式会社の設立の手続Q26

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る