第311 医療における美容医療の歴史⑴ 美容整形と形成外科 美容医療は,西洋医学の発展とともに,医療を美容目的に応用することを試みることで始まった。日本でも大正時代に美容整形ブームがあり,戦後には,シリコンオイルを直接注入する乳房豊胸術が流行したが,合併症を引き起こすなど,社会問題になったという。 一方,形成外科は,海外では,第一次世界大戦の傷病兵の治療を目的として,体系化されていき,第二次世界大戦でも,同じく傷病兵の治療をすることで実績を重ねていった。 日本の美容医療は,医療を美容目的に応用する美容整形から発展してきた流れと形成外科を美容に応用することから発展してきた二つの流れがあり,今日に至っている。 そのため,現在日本には,「一般社団法人日本美容外科学会」という同一名称で二つの学会がある。 一つは美容整形からの流れできている学会で,英語名を「JAPAN SOCIETY OF AESTHETIC SURGERY」(略称は「JSAS」)といい,もう一つは,形成外科からの流れできている学会で,英語名を「Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery」(略称は「JSAPS」)という。 このような歴史的な背景があり,「JSAS」は,正会員の要件は,医師であること,「JSAS」の会員2名以上の推薦があること,とされている。 「JSAPS」は,正会員の要件は,医師であること,一般社団法人日本形成外科学会の正会員であること,とされている。⑵ 時系列 二つの学会の設立経緯,標榜科目としての認定などの時系列の概要は次の第1 美容をとりまくトラブルの背景と法規制 美容をとりまくトラブルの背景と法規制
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