78第2章 施術別概要と裁判例ⅰ 頰骨突出形成術に関する説明義務違反 原告は,頰が高いように思った原因について,被告が,その真の原因が,骨の形にあるのか,原告の思っているとおりの脂肪の厚みによるものであるのかを的確に診断した上,その旨説明する必要があった旨主張した。これについて,①原告の頰に対する不満の原因が脂肪のためであったことを明確に基礎づける証拠は存在しないこと,②被告は,原告が気にしていた頰の横から耳にかけての部分は脂肪が付かないところであり,脂肪のための膨らみではない旨供述していること,③原告は,他の美容整形医院において脂肪を吸引する方法の説明を受けていながら頰骨を削る手術を行うために被告医院を訪れていること,④被告においても,原告の頰を触診した上で頰骨を削る手術をすることを決めていることから,原告が主張するような説明義務は否定した。ⅱ 下顎骨切除手術に関する説明義務違反 次のような点で説明義務違反を認めた。①左下顎骨の切除により具体的に左下顎骨のラインがどのように変化するか,②原告の要望どおり頰骨及び右下顎骨の切除手術をした上で原告が必要だと感じた場合に再度左下顎骨の切除手術について検討する方法と一度に左下顎骨まで切除する手術を行う場合との利害得失,③本件手術結果により原告が主観的に完全な満足な結果を得られない可能性等について説明していないとし,イ 結 論 認容額220万円(下顎角形成術について。慰謝料200万円,弁護士費用20万円。なお,頰骨突出形成術については請求は認められなかった。)ウ 主な争点① 頰骨突出形成術に関する説明義務違反② 下顎骨切除手術に関する説明義務違反③ 下顎角の過大切除か否か④ 眼窩骨を無断で切除したか否か⑤ オトガイ神経を損傷したか否かエ 判 旨
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