81とについて説明し,原告と話し合いを行うべき義務」は否定された。ⅲ 適切な手術をせず原告の下顎部に変形を生じさせた過失の有無 「左右不均衡に下顎骨隅角部を切除し,また,直線的に切除してエッジシェービングを十分に行わなかったために,原告の下顎部に左右差や隅角が左右2か所ずつ形成されるなどの変形が生じた」との原告の主張については,原告の主張するような結果は認定されず,手技についても過失は認められなかった。ア 事案の概要 下顎骨角部張り出し部分切除術(エラ削り)を受けた原告が,施術ミスにより左顔面頰部陥没変形・左顔面神経麻痺等の後遺症が残ったとして,診療契約の債務不履行に基づき損害賠償請求をした事案。イ 結 論 認容額525万3,825円(被告医院手術代金56万円,被告医院通院費1万6,560円,後医治療費79万1,285円,後医通院費5,980円,入通院慰謝料140万円,後遺症慰謝料200万① 説明義務違反(骨折を生じる危険性について)② 手術手技の誤りにより左下顎骨折の傷害を負わせた過失の有無エ 判 旨第1 顔の輪郭に関する施術円(後遺障害等級12級相当),弁護士費用48万円。なお,逸失利益は認めず。)ウ 主な争点下顎角形成術についての裁判例【4】東京地判平20・9・25(裁判所ウェブサイト)ⅰ 説明義務違反(骨折を生じる危険性について) ①骨折は想定される合併症ではあっても発生頻度は低いと考えられること,②下顎骨形成術に関する文献も骨折の可能性についてまで具体的に説明すべきとはしていないこと等から,顎骨骨折や削り過ぎの危険性についての説明義務違反は否定した。ⅱ 手術手技の誤りにより左下顎骨折の傷害を負わせた過失の有無 「骨を削り過ぎたり,損傷しないように細心の注意を払い,患者であ
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