民事執行及び民事保全制度における供託実務
42/70

《パターン事例Ⅰ─6》 青空さんは,海山銀行の他に,大地信用金庫からも金銭の貸付けを受けていることがわかりました。その後,海山銀行及び大地信用金庫から,青空さんが森林さんに対して有している工事請負代金債権(3000万円)に対して,下記の内容の(仮)差押命令が森林さんに送達された場合,森林さんの供託手続はどうなるのでしょうか(なお,①・②の数字は送達された順番で,執行裁判所については,①は東京地方裁判所,②は横浜地方裁判所である。)。⑴ ①海山銀行   差押金額:1500万円  ②大地信用金庫 差押金額:1200万円⑵ ①海山銀行   仮差押金額:1500万円  ②大地信用金庫 差押金額:1200万円⑶ ①海山銀行   差押金額:1500万円  ②大地信用金庫 仮差押金額:1200万円・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・312《パターン事例Ⅰ─6.①》 青空さんが森林さんに有している工事請負代金債権(金3000万円)に対して,下記の内容の(仮)差押命令が森林さんに送達された場合,森林さんの供託手続はどうなるのでしょうか(なお,〇の数字は送達された順番で,執行裁判所については,①は東京地方裁判所,②は横浜地方裁判所である。)。また,供託手続が終了した後,東京地方裁判所において配当等の手続が実施され,海山銀行が3000万円の配当を受けることになりました。この場合において,海山銀行が供託金の払渡しを受けるにはどうすればよいでしょうか。⑴ ①海山銀行   差押金額:1700万円  ②大地信用金庫 差押金額:1500万円⑵ ①海山銀行   差押金額:1700万円  ②大地信用金庫 仮差押金額:1500万円⑶ ①海山銀行   仮差押金額:1700万円  ②大地信用金庫 差押金額:1500万円・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・317《パターン事例Ⅰ─6.②》 青空さんが森林さんに有している工事請負代金債権(金3000万円)に対して,差押命令等が送達されました。次の事例⑴,⑵について検討します。【事例】⑴ 下記の内容の差押命令等が森林さんに送達されましたが,後日,②については38事例目次 ② 森林さんが金3000万円を供託した場合⑶ 上記⑴の供託手続が終了した後,東京地方裁判所において配当等の手続が実施され,海山銀行が3000万円の配当を受けることになりました。この場合において,海山銀行が供託金の払渡しを受けるにはどうすればよいでしょうか。⑷ 上記⑵②の供託手続が終了した後,青空さんは海山銀行に2500万円を弁済したことから,海山銀行は,東京地方裁判所が配当等の手続を実施する前に差押命令を取り下げました。この場合,青空さんが供託金全額の払渡しを受けるにはどうすればよいでしょうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・302取り下げられました。この場合,森林さんの供託手続はどうなるのでしょうか。 ①海山銀行   仮差押命令(差押金額:1700万円) ②大地信用金庫 差押命令(差押金額:3000万円) ③太陽銀行   差押命令(差押金額:1000万円)⑵ 下記の内容の差押命令等が森林さんに送達され,森林さんは民事執行法156条2項を根拠法令として,金3000万円を供託しましたが,後日,②については取り下げられました。この場合において,青空さんは工事請負代金債権の債権者として供託金の還付請求をすることは可能でしょうか。可能な場合,どのような払渡手続となるのでしょうか。 ①海山銀行   仮差押命令(差押金額:1700万円) ②大地信用金庫 差押命令(差押金額:1500万円)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・324

元のページ  ../index.html#42

このブックを見る