民事執行及び民事保全制度における供託実務
54/70

①AからBに金100万円②B支払期限が到来,返済しない③A貸金返還請求の訴えA(原告)・B(被告)金銭消費貸借契約(債務者)BA4 民法,民事訴訟法,民事執行法,民事保全法と供託の基本的な関係を具体的な事例で整理してみますと,以下のとおりとなります。 この場合,Aが日本国内に住所等を有しないとき,Bの申立てにより,訴訟費用の担保を立てることを裁判所はAに命じ供託することがあります(民訴75Ⅰ)。 また,本案訴訟の確定判決(債務名義)を取得するまでに時間がかかり,相手方が財産を処分したり,隠匿してしまうことが考えられます。この場合は,Aは裁判で勝訴してもBから金100万円を回収することもできなくなります。そこで,仮差押えや仮処分といった民事保全につい第Ⅰ編 各制度の概要④A勝訴の確定判決被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(民訴4Ⅰ)具体的事例 AがBに対し,金100万円を貸したとします。民法にいう金銭消費貸借契約が成立します。 AはBに対し,金100万円の貸金債権(民587)を有することとなり,Aが債権者,Bが債務者となります。 Bが支払期限が到来しても貸金を返済しない場合,当然,AはBに対し,「貸金を返せ」ということになります。それでも,Bが返さない場合には,A(原告)はBを被告として貸金返還請求の訴え(以下「本案訴訟」という。)を起こすことができます(民訴133Ⅰ)。(債権者)地方裁判所

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る