民事執行及び民事保全制度における供託実務
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5ての措置を講じることとなります。この場合も供託手続(民保14Ⅰ,22,25等)が必要となります。 そして,訴訟手続に入り,裁判所が,民事訴訟法に基づく手続により審理した上,AのBに対する債権が認められると裁判所が判断すれば,「被告は,原告に対し,金100万円を支払え。」という判決を言い渡すことになります。 この本案訴訟の提訴時に合わせて,原告が仮執行ができる宣言(民訴259Ⅰ)を申し立てていたとき,又は被告が仮執行を免れることができる宣言を申し立てたとき(民訴259Ⅲ),裁判所により担保を立てることが命じられた場合にも,供託を行います。 本案訴訟が,前述のとおりの判決が確定すれば,BはAに対し,金100万円を支払うべき義務を負うことになりますから,金100万円を返済しなければなりません。 しかし,判決が確定してもBが任意に返済しない場合,Aは上記確定判決に基づき,執行裁判所に対し強制執行を申し立て,その貸金債権を強制的に実現することができます。この強制執行に対して債務者(又は債権者)から不服の申立てがあり,強制執行停止・取消し(又は強制執行の継続)を行うために裁判所が担保を命じて供託(民訴403Ⅰ,民執36Ⅰ等)を行うこともあります。 また,強制執行による差押え(仮差押え)等が第三債務者になされた場合,第三債務者は供託を選択するか,又は供託をしなければならない(民執156Ⅰ・Ⅱ等)ことが生じます。 強制執行が実行され競売等により売却代金に換価され,その売却代金から債権者等に対しての配当の額が決まり,配当等(配当・弁済金交付)が実施されますが,この配当等に異議の申し出があると裁判所書記官(又は執行官)は,配当留保供託(同91Ⅰ)や債権者(又は債務者)が配当期日において配当の受領のために執行裁判所に出頭しない場合,不出頭供託(同91Ⅱ)を行うこととなります。 上記以外に,民事執行法及び民事保全法とその他の法律との関係で生序 章 

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