若弁
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 職務上請求は,訴訟が想定されない,単なる交渉案件でも使えますか。 交渉案件でも職務上請求が可能です。 訴訟が想定されない交渉案件(「裁判外の紛争処理手続」)でも,業務上必要のある場合には職務上請求が可能です(戸籍10の2Ⅳ①,住基台帳12の3参照)。 例えば,貸金返還請求交渉事件で相手方に返済を求めるケースで,以前の住民票上の住所は分かるが新しい住所が不明であるといった場合に,B用紙(住民票の写し等職務上請求書)を用いて,相手方の住民票の除票を請求し,転居先を調査するといったことが考えられます。このように,相手方の住所地を調査するために職務上請求を行うことは,交渉業務を遂行するために必要があるため特段問題ありません。 しかし,言うまでもないことながら,非弁護士の者の依頼や,依頼者がその興味から相手方の子どもの住所地が知りたいといった場合に利用することは許されません。必要性が認められないのに職務上請求を行ったとして懲戒処分が下された事例もあります。 更に,例えば税理士と共同で事件を処理している場合に,弁護士としては業務上必要とはいえない案件について,税理士に弁護士の職務上請求用紙を使わせることも絶対に許されません。 請求用紙には,冊子の右下にそれぞれ番号が付けられており,弁護士会は番号と購入した会員の氏名を記録しています。このため,同一事務所所§2 職務上請求用紙の利用について2【職務上請求】【情報収集】第1章 情報収集と情報の取扱い扱いはできないか)も慎重に検討すべき場合があると思われます。 職務上請求で取得した戸籍謄本等の取扱いは慎重にしなければなりません。そこで,例えば,閲覧制限のかかった裁判所記録のように「別綴り」にして,取り寄せた書類と,その他の書類とを区別してファイリングする等の工夫をするのもよいでしょう。 請求手続を事務職員にお願いしていることが多いでしょうが,プライバシーの問題を普段から注意喚起し,手引き等は事務職員にも読んでもらっておくとよいでしょう。 職務上請求に関しては,日弁連会員HP(書式・マニュアル)に掲載されている職務上請求の手引き・Q&A等を確認してください。

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