若弁
25/36

§3 刑事手続に関与した結果手元にある記録(1) 3【弁倫】【目的外使用】【プライバシー】【情報収集】属のX弁護士が購入した請求用紙を同一事務所のY弁護士が使用すると不正使用となってしまいます。 職務上請求用紙は弁護士ごとに適切に管理して,用紙の使い間違いが発生しないように注意することが大切です(弁護士法人は別論です)。 成年後見人等の立場の場合は,C・D用紙を使います→§230。その他の注意点もありますので,前問でもふれた日弁連会員HPを是非閲覧してください。 刑事裁判で,検察官から開示された供述調書を,民事裁判で証拠として用いてよいでしょうか。 そのままで,民事裁判で用いることはできません。 例えば,刑事事件で加害者の弁護人をしていた際に検察官から開示された被害者の供述調書を,被害者から加害者に対する損害賠償請求訴訟の中で証拠として提出したいというケースがあります。しかし,民事裁判で証拠として用いたい場合には,別途,文書送付嘱託や刑事確定訴訟記録法による閲覧等の手続を利用しなければなりません。なぜならば,刑訴281条の4第1項は,開示証拠の目的外使用を禁止しているところ,民事訴訟で用いることも目的外使用にあたり許されないからです。特に,交通事故の事案では,刑事事件と民事事件の両方を受任することも多いと思いますが,同条項に反した場合には,懲戒処分を受けることもありますので注意が必要です。 なお,刑訴281条の4は,刑事事件の「記録の差入」の際にも問題となることがあります。この点については,東弁LIBRA(2013年2月号,28頁)「刑事事件における差入記録の取り扱い」が参考になります。【参考文献】河上和雄ほか編『大コンメンタール刑事訴訟法〔第2版〕第5巻』(青林書院,2013年)452頁〜§2・§3

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る