解 説 Ⅱ 調査/1 相続人と相続分 11その前後で異なるか。審判前まではA・B各2分の1の法定相続分で遺産共有しているが、審判後は、家裁の審判により、A3分の1、B3分の2の具体的相続分の通常共有状態に転換される。この場合の「共有」割合は、具体的相続分ではなく、法定(指定)相続分というのが実務であり判例である。家裁は、法定相続分で共有されている遺産を具体的相続分に基づいて分割することになるが、審判による分割直前までは法定相続分による遺産共有状態が続いていることになる。遺産分割前は、法定(指定)相続分で準共有されているから、可分債権・法定果実の権利関係は、以下のとおりとなる。① 可分債権は、相続と同時に分割されるが、このときは、まだ遺産共有状態だから、法定相続分に従って当然に分割されることになる。具体的相続分がゼロの超過特別受益者も、法定相続分で取得できる。② 相続後の賃料も、遺産分割前は、まだ法定相続分での遺産共有状態だから、法定相続分に従って当然に各相続人が取得することになる。具体的相続分がゼロの超過特別受益者も、法定相続分で家賃を取得できる(最一小判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)。回 答1 「共有」(民法898条)の意義2 可分債権・法定果実との関係
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