はしがき i本書は、遺産相続事件を扱う弁護士等の実務家を主な対象とし、実務上のポイントを設例形式で解説したもので、以下の6点を特徴とします。1 第1編で遺産分割調停・審判を扱い、第2編以降で遺産分割に付随する訴訟や審判を扱う、大きく分けて2部構成になっています。2 第1編では、遺産分割事件の処理に必要と思われる論点をほぼすべて網羅するようにしました。調停・審判実務では頻繁に登場するものの、従来の書籍・論文ではあまり触れられていない問題点も可能な限り記載するよう心掛けました。3 第2編以降では、預金の無断引き出しに関連する使途不明金訴訟、遺言無効訴訟のほか、葬儀費用、相続後の建物利用関係、事業承継等々、遺産分割の関連問題を幅広く取り上げています。4 新相続法と旧相続法で結論が異なる論点は、新法と旧法でどのように結論が異なるかを対比して解説しました。5 弁護士を主たる読者層としていることから、要件事実や立証書類等、代理人としての主張立証活動に重点をおいた解説を心掛けました。なお、第1編では、調停の進行方法についても言及しています。6 事件処理にあたり税務上重要な部分では、税務処理の問題にも言及しました。もとより浅学非才の身であるため、どこまで実務処理に役立てていただけるか自信はありませんが、微かでもご参考となれば幸いです。なお、掲載した設例の多くは、弊所の他の著作物同様、弊所が現実に関与した事案をヒントにしたもので、その際の経験をもとに解説をしています。もちろん、参考にしたのは事件の骨格部分のみであり、事案そのものは大幅に変更してあります。主な参考文献は、東京家裁家事5部(遺産分割専門部)に在籍されていた裁判官が、在籍当時に執筆された書籍・論文等です。特にあ岡武元裁判官、はしがき
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